縄文を歩こう

身近に感じる縄文

 筆者(山本)は小学生のころ、友達と連れ立って鷹の巣山というところへよくいった。
 何十年も前のことで正式な地名もよくわからないが、七戸町の中心から南西方向へ小学生が自転車で行ける距離と考えると現在の野佐掛(のさがけ)か婆古石(ばっこいし)の辺りではないかと思われる。
 そこに何があったかというと、山の斜面の表土の下から土器のかけらや石器が出てくるのである。

婆古石神社

婆古石神社

 友達の間では土器が出てくるということは知られていて、時折行ってみるかということになり、土器や石器を収穫するということを遊びにしていたものである。収穫物の中でも石器の鏃(やじり)はなかなか見つからず、見つけることができた友達がうらやましかった。
 町の公民館にも特に大仰な扱いもなく、いくつか土器がショーケースに並べられたりしていた。土器や石器は生活の中に普通に存在していたのである。
 現在でも七戸町中央公民館には土器や貝塚からの出土物や、周辺の遺跡などの紹介パネルなどが展示されている。

七戸町中央公民館展示

七戸町中央公民館展示


七戸町中央公民館展示

七戸町中央公民館展示

 公民館には図書館も併設されており、これまでの七戸町(含旧天間林村)周辺遺跡発掘調査の資料などを閲覧することもできる。また小学校にも二ツ森貝塚出土の遺物が展示されていたりする。子供たちにとって縄文というものは割と身近な存在なのである。

天間東小学校掲示物

天間東小学校掲示物

 しかし、今ではなかなか土器や石器を掘り出すような体験もできそうにない。
 すでに掘り出され陳列されている土器や石器を眺めるだけしかない。

 そのような古(いにしえ)の生活用品を目にし、手にする時、それらを作った人々の姿や、それらを使っていた人々の生活を思いテンションが上がってしまうのは私だけだろうか。確かに遠い昔、この土器を作った人がいて、この土器を使った人がいたのである。土器一つを通して、遠い時代の人々と心が通うような気がしてならない。
 こうしてみると、この地域には先史時代の豊かな生活があったことが容易に想像できる。あっちでもこっちでも土器は出てきたものだという話を聞くと、このあたりの広い範囲に生活の場があり、多くの人が集団で生活していたことがうかがえる。
 七戸町民が御山と仰ぐ八幡岳のふもとに、高瀬川流域の緩やかな地形と穏やかな気候に恵まれ、この地域の中心として栄えたまほろばの里があったと空想は広がるばかりである。

八幡岳遠景

八幡岳遠景

七戸町中央公民館

観覧料:無料
開館時間:(月~金)9:00~21:00 / (土・日)9:00~18:00
所在地:青森県上北郡七戸町字森ノ上210番地
TEL:0176-68-2920
七戸十和田駅から車で約6分

青森県には縄文期を代表する3つの遺跡がある。三内丸山遺跡と、亀ヶ岡遺跡、そして是川遺跡である。

三内丸山遺跡全景(パンフレットより)

三内丸山遺跡全景(パンフレットより)

 三内丸山遺跡は言わずと知れた日本を代表する縄文時期の巨大な集落跡である。ここには今から5500年ほどまえから、1500年ほどにわたりたくさんの人々が定住していた。さまざまな遺物からこの時期の生活様式や交易の様子、自然環境などが明らかにされている。中でも巨大な物見やぐらの柱と思われる栗の木の出土や、こちらも巨大な集会所のような住居跡などは、多くの人が協力し合って生活していたことをうかがわせる。

二ツ森貝塚史跡公園(東景)

二ツ森貝塚史跡公園(東景)


二ツ森貝塚史跡公園(西景)

二ツ森貝塚史跡公園(西景)

 規模の大きさという点では、七戸町の二ツ森貝塚もまた、東北地方最大級の貝塚としてよく知られている。この貝塚は、縄文前期から中期の貝塚および集落の遺跡で、昭和50年以来の本格的な調査の結果、円筒土器や石器、骨角器などが発掘されており、また出土する貝層や土器などから、縄文時期にはこの地域に海岸線があったことがうかがえる(縄文海進)。
 二ツ森貝塚は現在も継続的に調査が行われているが、遺跡東地区の丘陵には復元の竪穴式住居2棟が設置されて貝塚公園となっており、いつでも自由に見学することができる。
 周辺には貝塚という地名があり、また貝塚という苗字の家もあり、いつの頃からかこの地が遺跡であるということが知られていたようである。
 史跡公園はいつでも出入りが自由にでき、公園脇を一般道が通っている。ここは地域の車や子供たちが日常使用する生活道路となっている。その道路と公園の境目の土を見ると、貝殻らしきものが目に入る。これこそが貝塚の由縁、古代の人たちが食した貝の殻である。これを食べて捨てた人はどんな人で、どんな状況で 食べたのだろうと、また心は古代へトリップしてしまう。

二ツ森貝塚境界付近

二ツ森貝塚境界付近

国史跡二ツ森貝塚

観覧料:無料
所在地:青森県上北郡七戸町字貝塚家ノ前地内
TEL:0176-62-9702 (七戸町生涯学習課)
七戸十和田駅から車で約30分

 二ツ森貝塚から出土した遺物や、七戸町周辺遺跡の調査資料などは七戸町文化交流センターに保管されている。
 ここは廃校になった旧西野小学校を利用した施設で、発掘資料などが年代や時期に分類されて保管されている。
 ここには中世の七戸城関連の資料も多数あるが、古代縄文関連の資料も少なくない。
 発掘された土器や石器はもちろん、二ツ森貝塚の地層そのものを切り取ってレリーフ状にラミネートした物、当時飼われてていたと思われる犬の骨なども展示されている。

七戸町文化交流センター(貝塚地層)

七戸町文化交流センター(貝塚地層)

 ここで個人的に最も貴重と思うのは遮光器土偶である。遮光器土偶といえば亀ヶ岡遺跡出土の物が全国的にも有名で、重要文化財にも指定されている。欠損している足が発見されれば国宝になるとも言われている。
 亀ヶ岡の土偶はその大きさ34.5cmであるが、実は七戸町の山屋遺跡から発掘された遮光器土偶は両足が欠損した状態で29.5cmある。完全な物であればおそらく日本最大の土偶であると思われる(七戸町教育委員会)。

七戸町文化交流センター(遮光器土偶)

七戸町文化交流センター(遮光器土偶)

 七戸町文化交流センターは一般公開はされておりません。見学希望の方は事前に七戸町生涯学習課までお申し込みください。

七戸町文化交流センター

観覧料:無料
所在地:青森県上北郡七戸町字前田32
TEL:0176-62-9702 (七戸町生涯学習課)
七戸十和田駅から車で約10分

<文責 山本>

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