上北ものづくりの手

勝目 律子(かつめ りつこ)さん

勝目 律子さん

明るくてチャーミングな人間性そのままを象徴するかのようなピンク色。
見ているだけで体温が感じられるぬくもりのある手の持ち主だ。
勝目さんの生み出すものは全て、そんなぬくもりが感じられる作品たちばかり。

北東北に伝わる伝統工芸、南部裂織の素晴らしさに魅せられて… 南部裂織

南部裂織とは

 裂織とは、文字通り「布を裂いて織る」意。古くから北東北に伝わるもので、かつては貧しい生活の中で古くなった衣類や糸を再利用するため、手作りの機織りでコタツ掛けや胴着、前かけ、あるいは帯などを作って実生活に役立てていたといわれている。
 今日ではその裂織の持つ伝統的な美しさ、工芸性、装飾性が認められ、色紙掛け、たんざく掛け、袋物等、作り手が様々な加工を施すことによって、現代的な感覚が加えられ、地方を特色づける工芸品として見直されている。
 勝目さんは、そんな南部裂織の持ち味を活かし、オリジナリティ溢れる作品を生み出す工芸品作家の一人だ。

南部裂織の作品

作業

 最初にとりかかるのは「整経」(せいけい)という経糸(たていと)を準備する作業。

 糸かけ…経糸となる糸を織物の幅、長さによって道具に糸をかけていく。
 綜絖通し(そうこうとおし)…上糸と下糸になる糸を分けるため綜絖とよばれる機の細かい隙間に通す。
 筬通し(おさとおし)…織物の綾目になる部分の糸を筬(おさ)と呼ばれる穴目に通していく。
 ~などの行程があり、4~5時間かかるという大変手間のかかる作業。
 その後機揚げ(はたあげ)とよばれる、生地を実際に織っていく作業に入っていくが、生地幅や、長さ、色彩を考慮しながらの作業となるのでかかる時間は様々だそう。
 手芸や洋裁というと、たいていは生地を選ぶところからがスタートだが、織物を「作る」という事は、本当に大変な作業に思えた。
 しかし勝目さんが好きな作業はこの「整経」という作業!
 南部裂織をされる方はほとんどがこの手間のかかる「整経」をすっ飛ばして、「早く織りたい」と考えるらしいのだが、勝目さんは違った。
 細かく、手間がかかる大変な作業を黙々と進める過程の中に「やっている!」という充実感を感じる、と勝目さんは言う。生地を織り始めると色彩や風合いを考えながらの作業になるので大変なのだそう。

 「考えすぎてしまうのかな」と勝目さん。

 「自分が納得しない色合いのものは、自分の作品にしたくない」と朗らかな人柄の中にも全身全霊でものづくりに挑む姿が垣間見えた。

 勝目さんの織り上げる裂織の、幻想的で美しい中にも品がある色彩はこうした苦労の上に生まれていたのだ。

 機揚げ(生地を織る作業)には、古い着物や浴衣を8㎜ほどに裂いたものを、織物の緯糸(よこいと)として織り込んでいく。勝目さんの工房には裂かれた布がたくさん用意されており、色彩も様々で、カゴの中はとても綺麗だっだ。

 布地として織り込むところから、バッグなどの製品に加工するまでものすごい手間がかかる。
 そのため一着1000円程度の着物でなければ、製品の値段が高くなってしまうため、実際は着なくなった着物などを貰い受けて使用しているそうだ。

南部裂織の作業南部裂織の作業 南部裂織の作業

南部裂織りの魅力

 『よみがえるから』と開口一番に勝目さんはいう。

 眠っていた着物や、思い入れのある着物などが、また新しい色や風合い、形を手に入れ、全く別のものに『よみがえる』ことに魅力を感じるという素敵なお話に、聞いていて感動を覚えた。
 本来南部裂織は古い衣類や糸等を再利用するものという点で、今日、環境保護のため叫ばれてやまない「エコ」や「リサイクル」という言葉が頭をよぎったが、 勝目さんの『よみがえる』というお話とその『作品達』を見ているとそれらとは少し違う観点の話に思えた。 あくまで自然の流れの中にあって、それでこそ活きてくるようなエネルギーを感じた。

南部裂織りの魅力

 一瞬で魅せられた

一瞬で魅せられた

 勝目さんは高校を卒業後上京、美容部員として関東以南を中心にデパートや百貨店において実演営業をしていたという。結婚、出産を経、子供達の独立を見とどけ、約9年前に七戸町へ帰郷。

 東京在住時に青森へ遊びに来た際、宿泊したホテルに展示されていた「南部裂織のこたつがけ」を見て
「一瞬で魅せられた」 
これが南部裂織との出会いだった。

 紺を基調としたその独特の色合い、「なぜこんな素敵な色がでるの!?」と衝撃を受け、それ以来南部裂織をやってみたい!と思うようになったそうだ。
 お話をしてくださる勝目さんの目はキラキラとしていて、聞いているこちらもその作品がどんなに素晴らしいものか見たくなるほどだった。

 裂織を教えていただける工房がある事を聞きつけた勝目さんは、
 帰郷後、南部裂き織り保存会の設立者でありこの道の第一人者であった菅野暎子さんのお弟子さんである七戸町出身の中岫アイさんに師事し、工芸作家への道を歩み始めた。
 他の仕事と掛け持ちながら学んでいたが、まずは「働く」ことに専念しようと決め、一時期、裂織から離れていた時期があったそうだ。
 しかし、何らかの展示会で再び裂織の素晴らしさに触れ、「何度見ても素敵だな」と思った勝目さんは、娘さんの「もう一度裂織をやってみたら?」の言葉に背中を押され創作活動を開始。
 約2年前から南部裂織のみに専念し、作品作りを続けている。

ショッキングピンク

ショッキングピンク

 勝目さんの好きな色はショッキングピンク!
 かわいらい雰囲気の勝目さんにぴったりの元気の良い色!

 勝目さんは、そのうち織り糸や布地を染めるところから始め、ショッキングピンクの裂織作品を作ってみ たいという。裂織というと落ち着いた色彩の作品が多いが、ショッキングピンクなら、若い女性が持っていてもかわいらしいし、裂織の素晴らしさを知ってもらえるきっかけになるかも知れない!「しゃべっていて楽 しくなってきた!」と勝目さんの顔はほころぶ☆
聞いているこちらも楽しくなるような、空気を明るくしてくれる方だ。
 東北地方北部では各地に分布し、知られている南部裂織だが関東以南の地方ではまだまだこのような工芸の知名度は低いのが現状。
 新幹線が開通した折には、是非、多くの人に勝目さん達工芸作家の作る南部裂織の魅力に触れて、感動してもらえたら…と思う。

 勝目律子さんの南部裂織作品は七戸町内 喫茶モリタにて販売しております。

勝目律子さんの南部裂織作品

タンスの奥で眠っているお母さんの着物や、思い出の着物、浴衣など、『よみがえらせて』みたい方は勝目さんを訪ねてみてはいかがでしょう☆

布工房「虹の花」南部裂織へのアクセス

連絡先 喫茶モリタ内
青森県上北郡七戸町七戸126-1
電話 0176-62-6318

布工房「虹の花」南部裂織
勝目律子

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